第2回【だからお米は「日本の国民食」となった】

お米の懐の深さ

日本は、世界でべスト10に入る 年間約750万トンものお米を消費する国。

気候風土がちがう日本列島のあちこちで、ご当地米が育ち、
97.1%(平成26年度)の食糧自給率を支えています。
白いご飯とつけものがあればいい。そんな粗食の時代から、
和・洋・中と食文化が広がった今も、お米は食の真ん中にあります。

その大きな理由のひとつが、お米とおかずとの相性のよさ。
野菜、魚、肉…、どれもご飯が進む食材です。
昔から日本各地に伝わる「郷土料理」も、 お米なしでは語れない料理ばかり。

・たこめし(香川県)
・ひこぜん(新潟県)
・高菜めし(熊本県)
・うずみ(広島県)
・鶏飯(沖縄県、鹿児島県) …ほか

お米は、その土地でとれる食材や独特の調理法を生かし、
季節の素材のおいしさを引き出してきました。

栄養価に富み、喉につまりにくいお米は、 赤ちゃんが口にする離乳食にも活躍。
老若男女とわず、万人に生きる力を与えてきた経験と歴史が
DNAとして受け継がれ、 私たちは物心つく前からお米を食べているのです。

そんな日本人との相性のよさから、お米は食べものにとどまらず
化粧品やエネルギーなどにも姿を変え、暮らしを豊かにしているのも必然といえます。

米づくりは、人づくり

「米」という漢字は、八十八という数字から形づくられています。
米づくりは88手。88の手間がかかるほど、 膨大な労力が必要という意味です。

それほどに大変な仕事を、約2500年前から行っている間に、
日本人の「働き者気質」が培われました。

そもそも、米づくりは共同作業が基本。
水を引き入れる作業や田植え、稲刈り、脱穀など、
機械化されるまでは、近所総出で行っていました。
その中で義理人情や、力をあわせる協調性が養われます。

こうして米づくりから「国民食」を育てる「国民職」と、
日本人らしい気質が生まれました。

私たちは、食事をする前に手をあわせて 「いただきます」と祈りをささげ、
食べ終わった後には「ご 馳走 ちそう 様でした」と
お礼の言葉を口にする習慣があります。

日本人はお米が暮らしの真ん中にあることで、
「生かされている」ことに感謝する、国民性なのです。