第4回【和食は“お米育ち”の宝庫】

和食の味を引き立てる伝統食

体を健やかにする、栄養バランス抜群のお米。
長らくお米を国民食としてきた日本人は、 食材をより美味しくいただくために、
「調味料もお米から作ろう」と考えます。

食材の味わいや香りを豊かにしたのは、 日本独自の「発酵」という醸造技術。
お米に発酵が加わることで、 さまざまな伝統食が誕生しました。

・味醂(みりん)
・米酢(こめず)
・味噌(みそ)
・塩麹(しおこうじ)

など、和食の味を引き立てる調味料は、どれも お米と発酵の力によってつくられています。

また、この発酵技術を応用してつくられた “世界一硬い発酵食品”鰹節(かつおぶし)は、
うま味成分が凝縮されている代表格。

原料のカツオは、動物由来でありながら 発酵の過程で脂肪やタンパク質が分解されるため、
油分が浮いてくることがなく、魚臭さもありません。
鰹節は、和食と相性ぴったりな上品で深い味と、 透き通っただしをつくります。

さまざまな形でお米を加工し、その技術を応用することで、
食の幅はずいぶんと広がりました。
独特のうま味と香りは、今でも愛される和食文化、 そして日本の家庭料理の原点です。

お米が新たな栄養分をつくりだす

お米を発酵させる技が誕生したのは、弥生時代のころ。
当時はもちろん、お米の加工による働きのすべては、 明らかになっていませんでした。

その後、科学が進歩する中で、 「発酵は、本来その食材にはなかった、
新しい栄養分を生み出すことができる」 ということが、徐々に判明していきます。

たとえば米味噌づくりの過程で増えるのが、 色素成分「メラノイジン」。
この成分は抗酸化作用が高く、血流を促したり 細胞を若々しく保つ効果があります。

また味醂は、ビタミン群が豊富な調味料。
疲労回復や、肌をしっとりとさせる 美容効果があることが分かっています。

そして和食のお供である日本酒には、
発酵の段階で生じた栄養成分が、そのまま含まれています。
その数は、数百種類におよぶという説も。

お米を原料とする伝統食の数々は、
どれも自然の力と、お米を愛してやまない人々によって 培われたものばかり。
安心・安全で、私たちをより輝かせるために お米のさまざまな研究は、今もなお続けられています。