第10回【お米は究極の「一物全体」食】

まるごと食べることの大切さ

皮や葉が付いたままの野菜や、精製する前の穀物を食べることを
一物全体 いちぶつぜんたい 食」と呼びます。
一物全体食は、食材の栄養を効率よくとることができ、
捨てるところがないためゴミを減らせるなど、
体にも環境にもやさしい食べ物を選ぶ「 選食 せんしょく 」のカタチ。

その代表ともいえるのがお米であり、
白米に精白される前の段階にある「玄米」を指します。

玄米とは、芽や根が詰まった「お米の種」の状態。
表面にある胚芽や表皮( ぬか )には、ビタミンやミネラルが全体の90%以上
含まれているため、白米よりも高い栄養価を得ることができます。
また、豊富な栄養を無駄なくエネルギーに変えたり、デトックスを促したりする
“働き”もあるため、栄養価以上のパワーもいただくことができるのです。

野菜なら、実はもちろん皮や葉、芯まで、魚なら、頭から尻尾の先まで、
健康な体をつくる栄養が詰まっています。
まるごと全体を食べられる食材を選ぶことで、その食材の良いところを、
くまなく取り入れられることも、「一物全体食」の魅力です。

私たちに根付いている自然の法則

現代では、必要な栄養分をとるために、「1日30品目」を食べることが
推奨されていますが、忙しい毎日の中でバランスの良い食生活をおくることは、
簡単なことではありません。
しかし、栄養価の高い玄米食であれば、副菜が少なくとも一定の栄養を
摂ることができます。

玄米のすべてが解明されるずっと前、お米が食べられるようになった弥生時代から、
人々は玄米を主食に選んでいました。
おかずが少ない粗食の暮らしであっても、玄米を食べることで、健康に必要な
栄養やエネルギーをまかなうことができていたのです。

飽食 ほうしょく の時代」といわれるようになった近年では、
偏食による栄養不足が叫ばれています。
そのため、お米そのものの可能性とともに、 玄米の素晴らしさも見直されているのです。
最近では、玄米が持つ健康を保つための効果が次々と明らかになり、
美容にも大いに役立つことが、分かってきました。
「一物全体」のひと粒に秘められたパワーに、 今でも私たちは生かされています。